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ギタリストインタビュー〜Tripliciti
2024年に結成されたAndy McKee、Calum Graham、Trevor Gordon Hallという、それぞれソロで活躍する個性あふれるトリオ。
来日直前インタビューとして、ジャパン・ツアーへの思いを話していただきました。
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tripliciti

ーTripliciti結成のきっかけを教えてください。

Andy McKeeAndy McKee(以下、Andy):Trevor(Gordon Hall)とCalum(Graham)の演奏がもともと大好きで、3人で演奏したらどんな音になるんだろう、とワクワクしたのがきっかけです。みんな本当に仲が良いので、一緒にツアーできるのがすごく楽しいんですよ。

Calum Graham(以下、Calum):私たち3人には、友情やユーモアのセンス、音楽に対する哲学、そしてマイケル・ヘッジズへの敬愛など、たくさんの共通点があるんです。それで「一緒に音を出したらどうなるんだろう?」と思い、自然とコラボレーションする流れになりました。
過去にデュオでの共演はあったけれど、トリオでの演奏は初めてで、実際に音を重ねてみると、何か特別な化学反応を感じましたね。
その後、コネチカット州レディングにある自然に囲まれたスタジオ“Maple Hill Farm”で、素晴らしいプロデューサー/エンジニアのCorin Nelsenとレコーディングする機会に恵まれて、そこから『Tripliciti』というアルバムが生まれたんです。

Trevor Gordon Hall(以下、Trevor):私たちはそれぞれ長年ソロ活動をしてきて、いろいろなスタイルで演奏してきました。でもこのトリオは、自然と集まってできた感じですね。もともと気心の知れた友人同士だったこともあって。
3人で初めて同じステージに立ったのは、2019年の「ギター・マスターズ・ツアー」だったと思います。各自がソロで演奏したあと、最後に一緒に曲をセッションする形でした。
私たちはお互いの音楽が大好きだし、一緒に旅をしていても気が合うので、「この3人ならきっと楽しいライブになる」と確信していました。実際、トリオでの演奏では毎晩“魔法”のような瞬間が生まれて、演奏していて本当に楽しいんです。
ギターって、1人でも存在感が強い楽器です。3人も集まれば普通なら音がぶつかって混乱しがちです。でもこのトリオでは、みんなが互いの音に耳を澄ませながら、丁寧に演奏している。誰かが目立とうとして、延々とソロを弾き続けたりするようなことはありません。
3人それぞれが、自分のスペースを守りながらも、相手の音を引き立て合っているんです。まるで、真ん中にある“空間”を大切にしているような感覚。その空間に踏み込まず、互いに余白を尊重するような、そんな自然体の関係性が、このトリオならではだと思います。

ー3人ともソロでは個性的なスタイルを持っていますが、Triplicitiとして目指す音楽、またソロとの違いはどこにありますか?

Andy:Triplicitiとしての最初のアルバムは、各メンバーのソロ曲をアンサンブルで再構築した作品です。すでにファンに馴染みのある楽曲たちに、それぞれが独自のアレンジや音楽的アイデアを加えることで、新たな表情を持たせることができました。

Calum GrahamCalum:ソロギターでは1人で全ての要素――メロディ、ハーモニー、リズム、ベース――を表現しなければなりませんが、トリオではそれを分担できるので、音色やアプローチの幅が一気に広がります。
各曲ごとに楽器編成を工夫していて、たとえばバリトンギター、ハイストリングギター、アコースティックギターを使い分けています。
3人で演奏することで、18弦分の音域と音色が重なり、重厚でありながらも繊細な、新鮮なサウンドが生まれるんです。
また、Ebowやスライド、カリンバタールといった特殊な奏法や道具を使うことで、音楽にさらなる色彩や質感が加わっていきます。ソロではできなかった表現が、トリオだと実現できる。そういう意味で、とても創造的な体験ですね。

Trevor:ソロでは、1本のギターで“音楽のすべて”を語ろうとしますが、トリオになると曲の中に余白が生まれる。その余白に他のメンバーの音が加わって、より豊かな世界が広がります。
ソロ曲をそのまま3人で演奏すると破綻してしまう場合もありますが、お互いが丁寧に耳を傾け合うことで、曲の持つ感情やメロディがむしろ際立ってくるんです。
私たちが目指しているのは、ギターの技巧を見せつけるような派手な演奏ではなくて、聴く人を音楽の“旅”に連れていくような体験です。
最も大切にしているのは、「曲そのもの」「メロディ」「感情の深み」。トリオという形態が、それをさらに引き立ててくれていると感じています。

 

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Tripliciti

世界的に人気の高いAndy McKeeをリーダーとし、Calum Graham、Trevor Gordon Hallの3人のギタリストによってテクニカルでもあり、豊かな音楽性、記憶に残るメロディ、ソウルフルなアレンジがアコースティック・ミュージックの可能性を広げられる。
アコースティックグター、エレキギター、バリトンギター、カリンバタールなどを駆使して、それぞれが多彩なソロ活動で得た経験、インスピレーションにより様々な音楽ジャンルを融合させ、新しい音楽の可能性と未来を示していく。

オフィシャルサイト
[CD] tripliciti
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販売価格:2,800円(税込)

01. Never Grow Old
02. The Blue Hour
03. Journey of Love
04. Blue Liquid
05. That Old Familiar Pain
06. Tabula Rasa
07. Memento Vivere
08. In Lak'ech
09. For My Father
10. Hunter's Moon
11. Ursa Major

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