Acoustic Guitar World
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ー大学でフィンガースタイルの学科ができるということは、カナダではフィンガースタイル・ギターの人気が高まっているのでしょうか。

アントワン:エレキギターの学科では生徒がどんどん減ってきていて、クラシックギターの学科は生徒数が横ばいの状態だそうです。フィンガースタイル・ギターという音楽ジャンルはアメリカ、カナダでは昔からあったのですが、少しずつ社会的な認知度が高まってきているのだと思います。

ー奏法についてお聞きしたいと思います。やはりタッピング(やスラップ・ハーモニクス、パーカッションなど)が目立つのですが、どのようにテクニックを習得したのでしょうか。

アントワン:ドン・ロスの奏法を一番参考にしていますね。マイケル・ヘッジスの存在もとても重要です。音楽を作っていく上で、そういった表現が必要だったり、左手で届かない場合には右手でタッピングするという必然がありました。

ー曲を作る上でメロディなどがあり、それを表現するために必要なテクニックとして、タッピングを行っているという感じでしょうか。

アントワン:作曲をする上で、この音とこの音をどうやったら同時に出せるか、という問題が出てきます。右手がパーカッションなどで忙しい時は左手でタッピングする時もあります。僕は主にリフやベース・ラインから曲を作っていきます。まずギターでリフを弾いて、コード進行を考えベースをどう乗せるか、など曲の流れを作り、それを譜面にしたり録音したりして、更にその上に乗るメロディを歌ったりしながら考えていきます。その後、それをどうしたら全て同時に弾けるかというアレンジをしていきます。手癖などから演奏しているのではないので、忘れてしまうと本当に弾けなくなってしまいますね(笑)。もうかなりの数の自分の曲を弾けなくなっています(笑)。

ー他のソロギタリストとは作曲方法が随分違うような気がします。この方法ならピアノ曲のアレンジなどもやりやすいのでしょうか。

アントワン:他の楽器で作曲された曲をギターにアレンジすることは簡単な事ではないです。必ず押えるのが不可能な場所があるので、それをどのように克服するかが難しいですね。

ーチューニングが多彩ですが、どのようなチューニングを中心に使っているのでしょうか。

アントワン:チューニングは全曲違うといっていいくらい、たくさん使っています。僕のホームページのFAQに全曲のチューニングを掲載しています。

アントワン・デュホール FAQ http://antoinedufourmusic.com/index.php?mod=faq

まずはスタンダード・チューニングから始めて、アレンジをしていく中でチューニングを変えていきます。開放弦が使えないと大変なので、メロディに沿って開放弦が使いやすいようにアレンジしています。時にはチューニングからイマジネーションを受けて曲を作る事もあります。

ー自分の中から出てくる音楽をギターで表現しているということですが、他に曲作りの特徴などがあれば教えていただけますか。

アントワン:常に心掛けているのは「ギター・ミュージック」を作りたいというのではなく、もっと広い意味での音楽を表現したいという事です。ロックバンドで演奏されている曲をソロギターにアレンジしたりするのも、自分の中の好きな音楽をギター1本で表現したいという思いからです。一方では、印象的なリフを作り自分の気持ちを一つのフレーズで表すという事もあります。

ー自分の中から出てくるというのは、何かに刺激されてなのでしょうか。環境であったり、美しい風景を見たりなど、きっかけがあるのでしょうか。

アントワン:特別に何かを見て、というのは意識しておらず、自然と自分の中から湧き出てくるものを形にしています。「These Moments」という曲のタイトルの意味を日本語で説明しようとした時に言いましたが、例えば、いろいろな場所を訪れたり、いろいろな人と出会ったり、自分の人生での様々な思い出を積み上げて今の自分があります。そういった中から自分の音楽が出てくるのだと思います。だから今回、奄美大島に行って素晴らしい体験をしたからといって、すぐに「奄美」という曲が出来る訳ではありません(笑)。10年後になって、その思い出が湧水のように湧き出てきて曲ができることがあるかもしれませんが。

ー演奏の際にヘッドにバンダナをつけていますね。これはどのような意図からでしょうか。

アントワン:最初のアルバムをレコーディングしている時に、ナットからヘッド側の弦の共鳴音が気になったんです。それが嫌で紙を挟んだりしていたのですが、たまたまギターケースにバンダナが入っていて、それを巻いてみたら非常に効果的だったので、それ以来バンダナを巻いています。

ーその部分の共鳴音というのは超高音で一般的にはあまり聴こえない気もします。かなり敏感なようですね。

アントワン:そうですね。あとは手を拭くこともできますね(笑)。
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Antoine Dufour http://antoinedufourmusic.com/

1979年カナダケベック州生まれ。
2004年1stアルバム「Naissance」リリース 。
2005年Candyratレーベルに参加。
2006年カナディアン・ギター・フェスティバル優勝、同年アメリカのウォルナットバレー・フェスティバル3位入賞。
現在まで6枚のアルバムをリリース、タッピングを駆使した高度なテクニックで、クラシック音楽やプログレ等様々な音楽から影響を受けた独特な楽曲を演奏している。

Sound Pictures
Sound Pictures

1.These Moments
2.Spiritual Groove (live)
3.Mother (live)
4.Midwestern Expansion
5.Solitude
6.Drac & Friends Part 1
7.Glimmer of Hope
8.Good Dog
9.Catching the Light
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Convergences

Convergences

1. Lost In Your Eyes
2. To Run In A Dream
3. Spirits in the Material World
4. Paroxysm
5. In My Own Rhythms
6. En T'attendant
7. Hide and Seek
8. South Side Of The Sky
9. So Little While Road
10. The Drive Within
11. Cold Day
12. Life in Technicolor
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Still Strings
Still Strings
1.Swing in a Round
2.Tango agricole
3.Catherine
4.Apres le beau temps... La pluie
5.Breakdown Ross
6.Mellow Deep Art
7.Solitude
8.6/8 d'La Belle
9.String Fusion
10.Intenso

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