Acoustic Guitar World
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ギタリストインタビュー〜小沼ようすけ
2001年にデビューアルバム「nu jazz」をリリース以来、独自のジャズを追求し進化を続けるギタリスト小沼ようすけ。試行錯誤を重ねて現在の演奏スタイルに辿り着いた経緯やギターに対する考え方、集大成ともいえるニューアルバム「GNJ」への思いなど、様々なお話をしていただきました。

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こんなにギターの練習をしてきたのに何も弾けない自分がいて、ショックを受けてジャズを練習しようと思いました

ーギターを始めたきっかけを教えていただけますか。

小沼ようすけ(以下、小沼):父が趣味でギターを弾いていたので、小さい頃から父の真似をして触ってはいました。本格的に始めたのは中学2年生の時で、BOØWYに憧れてエレキギターでバンドを始めました。BOØWYやBUCK-TICKなどをやってましたね。親がインテリアの仕事をしている友達の家に倉庫があって、そこでドラムも置いてバンドの練習をしていました。

ーロックからスタートしたのですね。小沼ようすけ

小沼:中学生からはそうですね。母がエレクトーンの先生で、父はオーディオマニアでブルースなどが好きだったので、小さい頃から家にはずっと音が鳴っている環境でした。
ロックバンドを続けていましたが、家の増築工事をしていた時に来ていた大工さんが、僕のギターの音を聴いて部屋をノックしてきました。この大工さんがハードロックをやってる人で、すごくギターがうまかったんです。この人に家庭教師になってもらい、勉強を教えてもらった後にギターも教えてもらいました。この時に洋楽を知り、Van HalenやLOUDNESSなどを練習しましたね。中学3年生で洋楽にシフトして、高校に入ってからはExtreme、Mr.BIG、イングヴェイ・マルムスティーン、ジミ・ヘンドリックスといったギターヒーローのCDを買い漁って、そういうプレイをするようになりました。そうしてロックギタリストになりたくて、秋田から東京に出てきて音楽学校に入りました。

ー高校を卒業してから音楽学校に入学されたのでしょうか。

小沼:僕は高校を卒業していないんです。学生の時にギタリストになるかどうかというのは、みんなとても悩むことだと思いますが、僕は高校2年生の時にバイクで事故をおこして、左腕を骨折したんです。今後ギターを弾けるかどうかわからないという状況になり手術をしました。骨折でギターを弾けない時に、もしギターを弾けるようになったらプロになりたいと思ったんです。リハビリを続け、ギターを弾けるようになってきたら、学校に行けなったのでずっとギターを練習していました。プロになりたいと思い、そのまま学校をやめてバイトをしながらギターを弾いていました。この頃は1日何時間ギターを弾いていたかわかりませんね。アルバイトをしながら、弾けないものはないというくらいギターを練習しました。ただ、秋田という田舎の中で得られる小さな知識でしたので、今考えると狭いものでしたね。そして、18才になって東京に出てきました。

ーどのような学校に行かれたのでしょうか。

小沼:洋楽が好きだったので海外に行きたいと思ってたんです。なので海外と提携していたパンスクールオブミュージックに行きました。バークリー音楽大学と提携していたんですね。ちなみに押尾コータローさんが1期生です。バークリーにはスティーブ・ヴァイやジョー・サトリアーニが講師にいるというように見ていたのですが、バークリーは実はジャズの学校なんですね。メソッドがジャズなんです。授業で最初にブルースの授業がありました。僕が知っているブルースは父が聴いていたものなので、3コードの簡単なものは弾けたのですが、ジャズブルースとなると手も足も出ないんです。こんなにギターの練習をしてきたのに何も弾けない自分がいて、ショックを受けてジャズを練習しようと思いました。
ジャズを弾けない悔しさがある中で、8月の夏休みに実家へ帰った時に父の車でジョージ・ベンソンとジャック・マクダフの昔のジャズをかけていたんです。たまたまジャズブルースで、授業でやったやつだと思いそれが格好良すぎたんです。今までロックで歪ませていましたが、クリーントーンでリズムが格好良く、今まで聴いたことがないフレーズを弾いているのにしびれて、その瞬間にジャズギタリストになりたいと思いました。それまでのロックギタリストになりたいという気持ちがなくなりましたね。
その後は謎解きみたいな感じでジャズの本を買ったり、CDを古いのから新しいのまで、アコースティックなものやジャンゴとかも買い漁ったり、少しでもジャズという情報を見ると、アルバイトで稼いだお金をCDにつぎ込むくらいでした。

ーコンテストに出場されていましたね。これは学校を卒業した後でしょうか。

小沼:はい。ヘリテージ・ジャズギター・コンペティションは、ジャズを始めて2年ちょっとくらいの時に、雑誌でたまたまコンテストのことを見つけました。そこでテープを送ったら日本代表に選んでもらえて、驚きましたね。
しかもコンテストのことは締め切りの前日に気付いて、試しに送ってみようと思い、コンポでリバーブをかけたりして、一晩中かけてカセットに録音しました。郵送したら間に合わないので、主催の事務所の住所を調べて次の日の朝にデモテープを届けました。それで海外で始めて演奏することができたんです。世界中から代表が集まり、パフォーマンスを行いました。

ーこの時のコンテストはギターソロだったのでしょうか。

小沼:はい、ソロで応募をしました。本番はバンドでもソロでもよかったのですが、ソロで演奏しました。スタンダードな曲ですね。審査員はいろいろな方がいて、弦で有名なダダリオさんやジョニー・スミス氏など、今考えるとすごい審査員達でした。
この時は1位だけ表彰されたのですが、審査員の方に僕が3位であることを教えてもらいました。これが21才の時です。
しかし、日本に帰ってきたら雑誌で天才とか書かれて、プレッシャーに押しつぶされてしまいました。このコンテストの結果は自分の実力以上の評価だと思っていて、たまたま自分の1曲が評価された結果だったのですが、まだ経験もなかったしジャズというのは厳しい世界ですので、ライブをするのが怖くなってしまったんです。それで、また引きこもって練習ばかりしていました。
しばらくして、また自分を試してみたいと思ってコンテストに出ようと考え、ギブソン・ジャズギター・コンテストの商品がギブソンES-335だったので、これをもらえたらジャズギタリストとして頑張ろうと思いました。でも本当に落ち込んでいたので、かなり気合いを入れて練習しましたね。そして優勝をして、ここからはジャズの仕事が来るようになり、プロ活動を始めることになりました。

ーこの時のコンテストもソロだったのでしょうか。

小沼:はい。ソロでしたが、本番ではバンドがいて、僕はソロの演奏の途中からバンドが入るようにしてもらいました。

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小沼ようすけ http://www.yosukeonuma.com/

1974年、秋田県生まれ。
1995年、ヘリテージ・ジャズギター・コンペティション世界大会で3位。
1999年、ギブソン・ジャズギター・コンテストで優勝。
2001年にアルバム『nu jazz』でデビュー。
ソロアルバムからバンドや様々なミュージシャンのレコーディングに参加。
ライブ活動も精力的にこなす。
プロフィールの詳細はこちら→http://www.yosukeonuma.com/biography.html

New Album「GNJ」
GNJ


小沼ようすけ new album「GNJ」
発売日:2014年10月22日

2001年、アルバム「nu jazz」にて鮮烈なデビューを果たしたギタリスト小沼ようすけ。その後6枚のアルバムをリリース、ジャズだけにとどまらないジャンルを超えて魅力を放つギター・サウンドと、誰もが認める確かなテクニック、そして誰からも愛される人柄から日本ジャズ・シーンにおいて不動の人気ギタリストの座を確立した。
そして小沼ようすけ4年ぶりのニュー・アルバム「GNJ」はT5Jazz Records移籍第一弾。
タイトル「GNJ」はGreen Note Jazz の略。ジャズの音を表すBlue Noteに、小沼ようすけがここ数年意識しているオーガニックでナチュラルな音を掛け合わせた造語「Green Note」。そして、小沼ようすけの原点であるジャズをこれまで以上に意識しつつ、デビュー・アルバムである「nu jazz」から発展し、今年40歳を迎える小沼ようすけが新たに原点回帰的なスタートを切ろうというタイトルが「GNJ」(Green Note Jazz)なのです。
これまで以上に、グルーヴィーで、メロディアスで、ジャズしている小沼ようすけサウンドをご体感ください。

収録曲
1 Jungle
2 June 7th
3 Bamboo / Tonlé Sap
4 Impressions
5 Super Moon
6 What A Wonderful World
7 Sketch Of 60s
8 I Think It’s Going To Rain Today
9 Explorer

Personnel
小沼ようすけ - guitar
金澤英明 - bass
鈴木正人 - bass
坂田学 - drums
仙道さおり - percussion

Recorded at LANDMARK STUDIO on June 18-19, 2014

【CD】(HQCD仕様)
品 番:T5J-1006 価 格:2,400円 + 税
【USB】(完全生産限定盤)
品 番:T5J-5006 価 格:3,000円 + 税
内 容:
・24bit/96kHz FLAC
・320Kbps MP3
・Jungle (excerpt) Music Video
・デジタルブックレット(PDF)
【デジタル配信 (ハイレゾ: 24bit/96kHz FLAC) 】
価 格:2,700円 + 税
【デジタル配信】
価 格:2,000円 + 税

T5Jazz Records http://www.t5jazz.com/p/t5j-1006.html



小沼ようすけ new album 発売記念ライブ
「The Road to GNJ」

2014年12月22日(月) 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 18:30 START 19:30
ADV.¥4,800- DOOR.¥5,300-(税込み/1DRINK別)

*未就学児童入場不可
*学割¥1,000(会場にて学生証提示の上、キャッシュバック致します。)

【出演】
小沼ようすけ(Gt)
金澤英明(W.Bass) / 鈴木正人(E.Bass) / 坂田学(Ds) / 仙道さおり(Per)

アルバムタイトルはGreen Note Jazzの略。ジャズの音を表すBlue Noteに、オーガニックでナチュラルな音を掛け合わせた造語「Green Note」。
小沼ようすけの原点であるジャズをこれまで以上に意識しつつ、今年40歳になる節目にデビューライブ会場であるduo music exchangeにて、原点回帰ライブを開催する。

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