前のページ　1　 2 住出：僕は、スタジオのような、あの緊張感の中ではギターをうまく弾くことはできないですね。忠英さんは、スタジオの仕事を始められた頃はどうだったんでしょう。 忠英：簡単なシンコペーションができないことがありました。弦も管も一緒にやっていて、自分だけが間違えるんです。頭に血がのぼってダメなんですね。結局最後までうまくいかず、そのままOKとなってしまいました。ギターのボリュームを下げたりしたのかもしれないですね。 ー現在は、お二人ともソロでの活動をされています。2015年に一緒にやった時、住出さんはどのような心境でしたか。 住出：ビビりまくりですよ(笑)。我々から見ると“ギター界のイチロー”ですからね。 忠英：若い人とか、いろいろな人と一緒にやるのは楽しいですね。ギターがあるからジェネレーションを超えて会話ができて、ライブができる。こんないい仕事はないですね。 ー忠英さんは住出さんとやってみていかがでしたか。 忠英：すごく楽しかったです。一番大事なのはリズムで、間をたっぷり取っている人が好きです。前に出てしまうのはダメなんですね。こちらが疲れてしまいます。きちんと間をとってリズムをキープしてくれる人はとてもやりやすいです。 音楽は”間”だと思っています。”間”が無い音楽は嫌いですし、歌心もなければいけません。ギターはインストでも歌ってるんです。よく「忠英さんのギターは歌みたいだ」と言われ、インストの曲に歌詞をつけていいですか、と言われることもあります。インストも歌なんですね。 住出：同感です。僕にとっても、歌もインストも同じなんです。どちらも歌なんですね。僕もようやく、精神面、考え方など、その域に到達したような気がします。 ところで、忠英さんはライブでは緊張されますか？ 忠英：あまりしないですね。 住出：うらやましいですね。僕は今でも本番はすごく緊張します。リハの時が、力が抜けてて、いい演奏してます(笑)。しかも、ライブでは、目の前に人がいるじゃないですか。 忠英：僕はもっと前に来ていいよ、と思いますね。プロは見られてナンボです。 ー昔から緊張をしなかったんでしょうか。 忠英：最初の頃は緊張してましたよ。数を重ねたので緊張しなくなりました。これも経験じゃないかな(笑)。 住出：あと、レコーディングで楽譜を渡されたら、まず何を見ますか。 忠英：キーを見ます。Bだったらカポ2でAとか、カポ4でGとかですね。オープンコードを使うならAの方がいいかな、というように考えます。譜面を書いた人がこういう音を出して欲しいんだろうな、ということを想像します。 ー忠英さんから住出さんに聞いてみたいことはありますか。 忠英：英語はオーストラリアに行ってから勉強したんですか。 住出：英語はもっと若い頃から勉強していました。シグナル時代、友人の友人のアメリカ人がシグナルのコンサートに来て、その時、僕はまったく英語が話せなかったんです。それが切っ掛けとなって、独学を始めました。こちらも我流ですね。 忠英：僕は英語が好きなんです。子供の頃「ボタンとリボン」という曲があったのですが、蓄音機で聴いて英語の歌がいいなと思いました。それから「恋の片道切符」など英語の歌がヒットしてきてました。中学では英語をうまくなりたいと思って塾に行ったり、高校でアメリカのフォークソングを知りました。それで英語に親近感があり、英語の歌をきちんとやろうと考え、アメリカのキャピトル・レコードでデビューしました。 ーお二人の今後の予定はいかがでしょうか。 住出：今年は、いろいろなアーティストと一緒にやってみたいですね。「ダメ元」で声をかけていこうと思っています。歌手の人ともやりたいですね。僕は小編成が好きなので、ソロシンガー＋ギターとかもやりたいですね。ソロギターCDも作りますし、その後はヴォーカルのCDも作りたいとも思っています。あと、ギター好きとして、日本のフィンガーピッキングの土壌がよくなってほしいですね。 忠英：何年ぶりかになりますが、インストのアルバムを出そうと思っています。あとは旅を続けるでしょう。3月で70才になるので、座右の銘を決めました。「過信禁物」です。ギターももっと上手になりたいし、いい曲も作りたい。謙虚になりたいですね。旅をするには健康でないといけないので、健康にも気をつけます。 ー今後もお二人のジョイントというのはあるのでしょうか。 忠英：またやるでしょう。”マサ忠セット”はいい名前だし(笑)。 ー最後にギターファンにメッセージをお願いしいます。 忠英：ギターを上手になりたかったら人前で弾くことです。部屋で練習するだけでなく、その成果を子供でも親戚でも誰でもいいので聴いてもらう方が上手になります。プロはずるいのでお金をいただいて練習しています(笑)。だから上手になります(笑)。 住出：最近はギターの発表会などが増えていると思います。そういう所で、どんどん失敗したり、心臓のバクバクを経験したり、頭が真っ白になる恐怖もろもろ、いろいろな経験をして欲しいですね。僕らだってステージで恥をかくことが多いわけですし、どんどんチャレンジしてください！ 【2017年1月20日東京・大岡山Goodstock Tokyoにて】 前のページ　1　 2	吉川忠英 https://www.facebook.com/chuei.yoshikawa 1947年　東京生まれ。 71年、伝説のグループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米。西海岸を中心にコンサート活動を行い、和楽器を取り入れたフォークロック・グループとして注目を浴びる。72年、“EAST”と改名し全米デビューを果たす。 帰国後シンガーソングライターとしてアルバムデビューし、同時にスタジオ･ミュージシャン、アレンジャー・プロデューサーとしての活動を開始。 アコースティックギターの第一人者として、中島みゆき・松任谷由実・福山雅治・夏川りみ・加山雄三・Chageなど、ニューミュージック系のアーティストを中心に数多くのレコーディングやコンサートに参加している。 毎年、北海道から沖縄まで全国ソロライブツアーも精力的に行なっており、その旅の音風景とも言える楽曲を集めたアルバム「Relax & Slow ~Natural Style~」を2014年夏に発売。 季刊誌「ACOUSTIC GUITAR MAGAZINE」（リットーミュージック）に『チューエイのスタジオ日記』執筆中。 リラックス&スロー　ナチュラルスタイル 発売：2014年8月 販売価格：1944円(税込) 1. 美しき山 2. Sunny Side Up 3. 風窓 4. After Rain 5. Four Times 6. Morning Sun 7. Travolution 8. Pavement 9. N.A.D. 10. Sweetness 11. Delight 12. Habanera 13. 318 Spring#1 14. タラの庭 15. Simple Life 16. Fuji House 17. 一日の終わり 18. Slow Fuji 購入ページ Amazonで購入 住出勝則　 http://www.masasumide.com 1956年 京都府生まれ。 1974年フォークグループ「シグナル」に参加、翌年「20歳のめぐり逢い」でデビュー、1983年の解散までシングル14枚、アルバム7枚をリリース。 その後、武田鉄矢、谷村新司らのサポートをこなす。 1996年オーストラリアに移住、ソロギタリストとしての活動を始める。 1999年初のソロギターアルバム「TREADIN' EASY」をリリース。 2002年に帰国し、日本を拠点にソロ活動を始める。 2004年初の台湾ツアー、2006年に初の韓国公演を行う。 2007年初のアメリカ／カナダツアーを行う。 2011年に滝ともはる、矢沢透と「HUKUROH」を結成。 毎年アルバムをリリースし、多くの海外ギタリストと共演するのなど、ソロ、バンドとも精力的に活動中。 GOOD COMPANY 2 発売：2016年7月 販売価格：5,832円(税込) 1.My Love 2.Honesty 3.Feel Like Makin' Love 4.If 5.Love Theme (From "Sunflower") 6.The Pink Panther Theme 7.When You Wish Upon A Star 8.Moon River 9.Top Of The World 10.Mr. Sandman 11.Blue 12.Superstition 13.September ~ Let's Groove [ bonus tracks ] with Masaaki Kishibe 14.The Water Is Wide 15.Wonderful Tonight 販売サイト 熊本地震復興支援CD 「HAND IN HAND」 吉川忠英&住出勝則「The Water is Wide」収録
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