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ギタリストインタビュー〜Aki Miyoshi
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ー昨年ポーランドで行われたコンテストに出場されています。このコンテストは1次予選は動画を見ての投票でしたね。

Aki:そうですね。でも、これは最初の規定にはなかったんです。予選は10分間の演奏動画を送ってくださいと言われていました。送ってから1ヶ月くらいしたら動画をYoutubeにアップするので、そこで「いいね」が一番多かった一人が審査員枠とは別に本選に出場となりますと言われ、すべての動画がアップされました。こんなことならきちんとした場所で撮ったのにと思いましたね(笑)。動画は顔と手元がずっと1ヶ所から写っていて、編集NG、リバーブがNG、ラインではなくマイクで、となっています。
このコンクールのことはギタリストのライアン・エアーズさんから聞いたんです。そこで二人でエントリーしてみました。本選もシステムが変わっていって、当初はマイクと言われていましたがAERのアンプが使用できるようになりました。それならいろいろ機材を持っていったのですが(笑)。
動画をアップされた方は海外のメジャーで活躍しているギタリストも多かったので、1,2時間で数千の「いいね」がついたりしました。ブラジルでラジオ番組を持っている方や、13,4才の男の子、アメリカでジャズをバリバリやっている方など、すごい人たちがエントリーしてましたね。すごい人たちがたくさんいたので、本選は16人出場できるのですが、自分が16番目には入ると思えませんでした。動画がアップされてから予選通過の連絡まで3,4ヶ月あり、8月に予選通過の連絡がきたので、そこから慌てて準備しましたね。そもそもポーランドってどこだろうというところから(笑)。

Guitar Masters 2016 - Fingerstyle - Live Stream

【Aki Miyoshiさんの映像は2:11頃から】

今回のコンテストは昨年が初めてだったのでしょうか。

Aki:イベントの詳細はわからないのですが、ポーランドでは都市で文化振興などを持ち回りでやっているようで、今回コンテストが行われたヴロツワフが担当で、国からの支援も大きかったようで、フェスティバルとしては半年間くらいかけた大きなものでした。
コンテストもクラシックギターの賞金は300万円くらいだったようです。フィンガースタイルでも100万円くらいだったので、大規模でした。

ー本選での選曲はどのような制限があったのでしょうか。

Aki:オリジナルやカヴァーといった制限はなく、演奏時間が25分間であること、審査員であるトミー・エマニュエルの曲、あるいはトミーがアレンジした曲を1曲演奏することがルールでした。そうすると、トミー・エマニュエルのスタイルですごくうまい人が多くなるんです。僕はナイロン弦だしスタイルは全然違います。レッスンで「アンジェリーナ」を扱ったりするくらいですね。そこで、トミーがジャズナンバーをアレンジしていたので、そこから「Blue Moon」を選びました。楽譜はないので、CDを聴きながらアドリブの部分も耳コピしました。
でも、コンテストの3日前にトミーが体調を崩して入院することになり、審査員として来れなくなりました。トミーのファンとして、トミーの楽曲をトミーに聴いてもらえると思っていたので、テンションはかなり落ちましたね。他の出場者もそう思った人は多いでしょう。それでも当日は出場キャンセルはありませんでした。
本選は16人だったのですが同点が6人いたので、その6人も出場し、24人となりました。コンテストは11時間くらいだったので、審査員も大変だったと思います。
ギターのコンクールにはクラシックで小中高校と出場していましたが、その頃と同じでギターで食べていきたいとか有名になりたいとかではなく、自分が今やっていることがどれくらいの人に納得してもらえるのか純粋に評価してもらいたいんです。同じように活動している海外のギタリストに会いたいというのもありました。そう考えると、同じベクトルを向いている人が集まるこのコンテストは素晴らしいものですね。

ーコンテストは11時間ということですが、1日でやったのでしょうか。

Aki:はい、1日です。前日にリハーサルがある予定だったのですが、これがなくなり当日に24人が1時間でリハーサルすることになりました(笑)。こんな風景なんだな、というので終わりましたね(笑)。
朝の9時か10時くらいにスタートして、夜の11時くらいまでかかりました。当日の演奏はYoutubeで配信されていましたね。
演奏を終えてホテルに戻り、その動画を見てみると日本のファンの方が声援をアップしてくれたり、海外の方もコメントを入れてくれたりました。いろいろな人が注目している中で自分が出場できたのは、あらためてありがたいことだと思いました。

ーコンテストの演奏はリバーブなども自由だったのでしょうか。

Aki:そうでしたね。本当はダメなんですが(笑)。25分をオーバーする人もいました。僕の前の人はセットリストにない曲を追加でやらせてくれ、と言ってましたが時間オーバーだからダメだと言われてました(笑)。あの場では、自分の音楽をもっと聴いてほしいというようにもなります。

ーエントリーは何番でしたか。

Aki:6番目です。この順番だと、出場者もいろいろ確認したいでしょうから、みんな会場で見ていました。エントリーしているのはどのような人かというのをよく聞かれますが、ここに残った人は皆メジャーなアーティストやバリバリ活動している人しかいません。その中で圧倒的に人の心をつかむ人が上位になりました。
コンテストの結果、僕は6位でした。1位と6位ってそんなに違うの、と聞かれますが、1位は圧倒的だったんです。テレビの中でいろいろな歌手が歌っている中で、美空ひばりさんが出てきて歌えば人の心をぐっとつかむでしょう。そんな感じで優勝したのが、ドイツのSonke Meinenというギタリストです。 出場者の中でも、彼しかいないだろうという空気になってましたね。他の出場者と話した時も、自分も彼のようにやりたい、というように言ってました。説得力のある音楽でしたね。1位と6位の差も大きいですが、1位と2位の差もそんな感じです。

今回は今の自分ができることを全てやって6位、アジアでは1番と評価されたのはありがたいですが、成功したという気持ちがありつつもうまくいかなかった次の課題もあります。今回のコンテストでは譲る気持ちというか、プラスではあったけれども、コンクールの中では中途半端な歩みよりだったかもしれません。自分の振り幅を広くして、ジャズ、ボサノバやオリジナルアレンジ、トミーの課題曲も弾きたいと思った時に、これだけをやりたいと一心に思ったSonkeと、弾ける曲、弾きたい曲と自分の振り幅がこれだけあるとした僕の違いはあったと思います。クラシックのコンクールでも本選は15分か20分くらい演奏させてもらえて、ルネサンス、バロック、現代とそれぞれの時代背景を弾けるように、自分の振り幅を出すスタンスが多かったですが、譲らず、奢らず、自分はこれです、という説得力を持っていくべきだったのかとも思いました。確かにライブではあるのですが、それ以上に置いてこないといけないものがあると思いましたね。コンテストとライブの違いを実感しました。
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Aki Miyoshi http://aki-miyoshi.jimdo.com/

1976年生まれ
5才よりクラシックギターをはじめる。
学生時代多くのクラシックギターのコンクールで賞を獲得。
サラリーマンを経てギタリストへ転身。
2009年1stアルバム「 The Rock Garden」リリース。
2011年フィンガーピッキングデイ2011最優秀賞、アコースティックギターブック賞獲得。
2012年Walnut Valley Festival出場。
同年2ndアルバム「Heart on Guard」リリース。
2014年3rdアルバム「Easy To Use」リリース。
2016年ポーランドで行われて国際ギターコンクールGuitar Masters で6位獲得。
同年4thアルバム「Recipe for yellow」リリース。

プロフィールの詳細はこちら→http://aki-miyoshi.jimdo.com/about-me/
Recipe for yellow

発売時期:2016年11月28日
販売価格:2,500円(税込)


1.overture ~ for yellow ~
2.ゆずちゃ記念日
3.俺のスピンタン号
4.サンキュ
5.Garota de ipanema ~ Samba de uma nota so
6.Days of wine and roses
7.あかねさす たなごころ
8.Moonlight serenade
9.螺旋の光
10.Verano porteno


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