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ギタリストインタビュー〜シオミモトヒコ
中川イサトギター教室の第一号卒業生となり、楽器業界、ギター教室を通じて中川イサト氏と交流を続けたシオミモトヒコ。
日本のソロギター創成期のエピソードや中川イサト氏への想い、ギタリストして活動を始めた現在の動向をお話いただきました。
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シオミモトヒコーギターを始めたきっかけを教えていただけますか。

シオミモトヒコ(以下シオミ):僕は幼稚園の時からオルガンを習い、小学校1年生からピアノを1年習いましたが、当時鍵盤を習ってるのは女の子ばかりで、それが嫌だったんです。楽器をやるならまだギターがいいと言って、小学校2年生の頃からクラシックギターに替えてもらったんですが、それもイヤイヤだったので半年くらいでやめてしまいました。
しばらくギターもピアノも触っていなかったのですが、中学生の時にフォークブームになりました。ある日、家に遊びに来た友達が、うちにあったクラシックギターをコード弾きして、歌を聴かせてくれました。その時初めてコードを押さえて演奏ができることを知り、クラシックギターではドレミとかしかやっていなかったのでいいなと思って、初めて自分からやりたいと思って楽器を弾き始めたんです。

ーその頃はフォークソングを弾いてたのでしょうか。

シオミ:そうですね。シンガーソングライターに憧れてギターを弾いていました。伴奏はすぐに弾けるようになって、ギターを嫌になることなくレパートリーを増やしていけました。
高校2年頃に吉田拓郎さん、井上陽水さんのように垢ぬけたのではなく、高田渡さんや加川良さんといった関西寄りの音楽をかっこいいと思いました。そこで加川良さんのサイドで弾く中川イサトさんを知ったんです。その頃のイサトさんは「五つの赤い風船」を抜けてソロでアルバムを出すなどの活動をされていましたね。
中川イサトさんのレコードにインストゥメンタルの曲が入っていて、クラシックギターではないスティール弦のギターでも歌わない演奏があるということを初めて知りました。
歌の伴奏はスリーフィンガーを覚えたら技術の進歩はそこで停滞しましたが、イサトさんのインストゥメンタルを聴いて、まだまだ面白いものがありそうだと思い、イサトさんのコピーを始めたんです。

ーそこから中川イサトさんの教室に通われたのでしょうか。

シオミ:はい。19才の時大阪の梅田ナカイ楽器をのぞいたら偶然中川イサトギター教室の案内が貼られていました。あの中川イサトさんがここでギター教室をやっているのか、ということにびっくりしましたね。
本当に本人に会えるんだと思ったら感激して、その場で入会を申し込みました。
その頃のイサトさんは一世を風靡したフォークブームが終わり、一仕事終えた感じがありましたね。時間が一番遅いクラスを狙って入って、教室が終わってから毎晩イサトさんとお茶を飲んで帰りました。そこでいろいろなフォークシンガー達との話とかいろんな音楽の話を聞きながらギターを習う毎日は本当に楽しい日々でした。
習いに来ていた人たちは、フォークブームの有名人の一人がギターを教えてくれる、本人にお会いできる、というのが信じられないという感じでしたね。

イサトさんはソロの活動だけでなく他のアーティストのバックでの演奏にも定評のある方で、フィンガーだけでなくブルーグラス寄りのフラットピッキングもかなりやってきています。本当に幅広く海外のアーティストの演奏を研究しており、習いに来ていた人はブルーグラスが好きな人も結構いました。

僕が入ったのは教室が始まって半年くらいたってからです。イサトさんは自分の活動をしながらこの教室をやっていましたので、まだ教材がそれほど多くありませんでした。
僕はご本人に習える嬉しさと、インストに対する情熱が激しくてその頃1日最低5時間くらい練習していました。1週間たつと前の週にもらった教材はほぼ完璧に弾けています。それでまた新しい教材をもらい、そんなことを繰り返しているうちに半年くらいで教室の中では僕が先頭になっていました。
ある日、15曲目を習っている時にイサトさんが僕に、「うちは20曲で卒業や」と言いだしまた(笑)。
結局、教室にいた期間は1年ほどですが、その間1~2ヶ月は加川良さんのレコーディングでアメリカに行って教室は休みだったので、正味10ヶ月ほどで20曲習い、教室を追い出されてしまいました(笑)。

ーギター教室卒業後、プロになろうは考えませんでしたか。

シオミ:イサトさんや教室の他の生徒たちとの間では、僕はそのままプロになってもいけるんじゃない、という雰囲気はあったのですが、その頃はエレキギターが盛んで、ディープ・パープル、ドゥービーブラザース、イーグルスなどロック主流の時代です。フォークもすっかりニューミュージックに取って代わられていました。
そんな中で歌のないアコーステイックギターのインストでプロ活動をするなんて想像もつきません。イサトさんはそういう活動をしていましたが、国内で2人目になれるとはとても思えませんでしたね。
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シオミモトヒコ 
https://donighdecker.wixsite.com/eadgbe

京都生まれ​
幼少期は5歳からオルガン、その後ピアノ、クラシックギターとお稽古通い。
1976年 中川イサトギター教室に入門し、翌年最初の卒業生となる。
その後、当時はまだ珍しいフィンガースタイルのギター教室を愛知県で開始、関西の中川イサト教室、関東の岡崎倫典教室と共に合同合宿などを展開し、フィンガースタイル黎明期の普及に関与。 一方で楽器商社に永年従事し、カナダのLARRIVEEギター日本初上陸、タカミネギターの国内販売立ち上げのプロモーション展開などを担当。今や業界に定着した「エレアコ」という言葉を生み出した。
2022年オリジナルアルバム 「 ONCE AND FOR ALL 」リリース。
ONCE AND FOR ALL
ONCE AND FOR ALL

発売日:2022年6月1日
販売価格:3,000円(税込)

1. Morning Haze
2. 春かな
3. C#Rag
4. 8月
5. Maria Elena
6. Orange Jam [duet with 岸部眞明]
7. Eの呟き
8. どこか
9. Katsura
10. 晴れ時々曇り
11. 窓の向こう
12. 見上げてごらん夜の星を
13. ゆめのまた夢
Bonus Track
14. Danny Boy
販売サイト プー横丁
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