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ギタリストインタビュー〜T-cophony
ニューアルバム「Solitary walk」をリリースし、9月からはライブを行うなど、これまでの活動から変化を見せるT-cophonyに、前作からの心境の変化、現在、そして今後について深く語ってもらいました。

Acoustic Guitar World vol.54 電子書籍(EPUB)ファイルをダウンロード
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前作「Pressed for time」で出し切った感がありました

ーまずはニューアルバムについてお聞きます。「Solitary walk」というタイトルですが、どのようなコンセプトでしょうか。

T-cophonyT-cophony(以下、T):アコースティックギターのインストでやりたかったのは自主制作の前作「Pressed for time」で出し切った感がありました。前作はコンセプトを決めてイメージ通りにできたのですが、今回は新しい曲は浮かんでも、コンセプトというのは考えていませんでした。
アルバムを出す予定も無かったのですが、TRレーベルの高井さんから去年の9月頃に、レーベルを立ち上げたいという話がありました。高井さんは元々楽器卸業者(TR music)の社長で、3年くらい前からピックアップなどでいろいろ付き合いがあったんです。違うレーベルには2008年頃に所属して、アルバムを全国でリリースもしていましたが、レーベルから出すメリットというのはあまり無いと感じていました。自分にとってレーベルでの大きなメリットと言ったら、あの人でいっぱいのむさ苦しい電車に乗らずに送迎して貰える事くらい。
自分で音源やPVを作り、今まで自主制作で出していたので、やりたいことは自分で出来てしまうんです。レーベルに入る必要というのは無いのかなと感じていて、もう二度とレーベルには入るつもりはありませんでした。そもそも自分の音楽を無理矢理人に聴かせたいという気持ちがありません。例えばどこかのお店に入って同じ音楽が繰り返し流れていたら、最初は好きな曲でなくても耳に自然に残ってしまうことがあると思います。こういった戦略が嫌いだし、自分のペースで制作すれば聴きたいと思ってくれる人が聴いてくれるので、こういった現状でよいと思っていました。
高井さんは、僕の音楽がテレビに出たりしてある程度有名にはなったけれども、まだまだメジャーではないと感じていて、それをもどかしく思っていたということで、レーベルを立ち上げてアルバムを出さないかと言われました。自分一人での活動で満足ではあるのですが、確かにビジネス的には難しいとは思っていました。今の日本、世界の音楽市場では何かに使われ、どれだけ流れて、知られるきっかけを作らないとヒットはしないということはわかっていて、いい曲だからヒットするという世界ではないこともわかっているので、いろいろ悩むこともありました。
僕が音楽を作る理由というのは、人のためではなく、自分のためということが大きく、他にも理由はあるのですが、CDをリリースするのはビジネス的に必要ではあっても有名にはなりたくないという矛盾があります。
この矛盾を埋めるために、レーベルに入ればよいのかと感じました。高井さんは人に押し付けることはしないし、僕の性格もわかっているので意気投合して、アルバムを出そうという話になりました。
ただ、当初アルバムを作るつもりが無く、曲が出来ていた訳ではありません。高井さんからは、去年の9月頃から、年を明けてからとか、6月くらいまでには出してほしいと言われていたので何とかしたいとは思っていたのですが、僕は絞り出して曲を作るということをしたことがないんです。人に頼まれて作った事もないんですね。曲が自然と浮かんできて、たまったらアルバムを出すというのが自分のペースなんです。これでは無理かなと思っていました。
僕は11月、12月の木が枯れたりちょっと寂しい感じがする時期が一番好きなのですが、毎年この時期は曲がすごく浮かんでくるんです。10月頃には曲が出来ないので無理です、と話していたのですが、11月に入ってからどんどん曲が浮かんできて、今回のアルバムの4分の3くらいはできていました。1月にはほとんど完成しましたね。なので、コンセプトというほどのコンセプトは無いのですが、アルバムタイトルの「Solitary walk」は独り歩きということで、このアルバムだけのことではないですが、僕は自分が聴きたい曲を作り、一人で歩いている時にその曲を聴いて気分を上げるということをしています。今回出来上がった曲たちもそのイメージが近いと思い、このタイトルにしました。

ー前回のインタビューでもうかがいましたが、こういう曲を作ろうというより、曲が自分の中から湧き出てくるという感じなのでしょうか。

T:例えば、旅行に2週間くらい行って帰ってくると、自分の家の感覚が違うことがありませんか。違和感があるというか、見慣れた部屋でも何か落ち着かなくて、2、3時間すれば元に戻るという感じです。ある程度は誰もが感じるものだと思いますが、自分にはその感覚が1日に数回来るんです。旅行に行った訳でもなく、単純に自分の部屋に違和感を感じます。電車や車に乗った時も、急に嫌な場所、知らない場所に来ている感覚に落ちることが結構昔からあるんです。自分の部屋にいても違う場所のように感じる瞬間があって、そうなると精神的にパニックになるんです。落ち着かなくて、嫌な感覚です。デジャブの反対という感じでしょうか。この落ち着かないという感覚を心地よいと感じる人はいないと思います。この雰囲気を変えるにはひたすら別のことを考えるか、それが過ぎるのをじっと待つしかなかったのですが、音楽を聴くとその曲の雰囲気に変えられます。僕が音楽を作る理由でもあるのですが、この時にまったく別世界に行くには、悲しい曲、明るい曲に偏り過ぎると受けつけなくて聴けないんです。このどちらでもない中間くらいの曲が一番世界に入り込みやすいので、今いる場所が心地悪く感じてきた時に、中間くらいの曲を聴くと他のイメージに飛べるんです。この中間くらいの曲を探してもなかなか見つからないので、自分で作るようになりました。これが曲を作る一番の目的、理由です。
自分の場合、雰囲気とか昔見た夕焼けとかのイメージを曲にしているので、自分で作ってその曲を聴けば、映像も浮かんでくるんです。自分のBGMのためにひたすら曲を作っています。今回の曲も基本は同じです。よく耳にするのが、今回のアルバムの曲をYoutubeなどで公開していますが、ファンの方からのコメント、メッセージでは、昔の暗い感じ、病的な感じが薄れてきたと言われます。感想自体は自分のために作っているものだし、あまり気にしないのですが、明るい感じになってきたことをいいと言う人もいるし、昔の暗いイメージが良かったという人も多いです。実は暗い曲もできているのですが、今回はレーベルから全国に一般流通でリリースするという話です。曲を作っているのは自分のためではありますが、レーベルとしてはビジネスとしての成功も必要で、あまり暗い曲も良くないかなというのもあるので、できた曲の中から聴きやすい曲が選ばれています。
自分の中ではキャッチーなアルバムになったのではないかと思います(笑)。
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T-cophony
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2005年に楽曲をネット公開し、国内だけでなく海外からも好評を得る。
2007年にはPVも手がけ、2008年には全国CDデビューする。
MySpace、Youtubeなどで人気が高まり、2011年11月に「行列のできる法律相談所」に出演し、ダブルネックギターで「Closed」を演奏し大きな反響を呼ぶ。
2012年には全国デビューしたアルバムにギターソロ曲を追加した「Sharing the emotion Original」と2009年に発表する予定であった「Load before departure」をリリース。
2013年 「Pressed for time」をリリース。
2014年9月3日最新作「Solitary walk」を全国リリース。

New 「Solitary walk」
Solitary walk


1. Dizzy Spells
2. Introvert’s holiday
3. Module
4. Secret ability
5. Soar
6. Wet under head
7. Orbit
8. Solitary walk
9. Mental magic box
10. Overcast
11. Gray
12. Polygon space
13. Fall leaves
14. Summer train (New version)
15. Closed (Long version)
16. Fall leaves (Piano version)
17. 14days for life (New version)
18. Unsociable
19. Sprint
20. Re cold night

TR Label
TRL-1001
2,700円(税込み)
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Pressed for time

Pressed for time

1. Monday
2. Never trust anyone
3. Mint taste
4. Collector
5. Better not to know
6. Portrait
7. Forelock
8. 9 breeze
9. Autumn street version2
10. Empty street
11. Fidgeting
12. New encounter part2
13. Blinking notifications
14. The ephemeral joys
15. Continuous rain
16. Lost humanity
17. Past links
18. Historic site
19. Friday
20. Freezing cold night
21. My own Sunday
22. Oblivion (Empty street version2)
23. The season (harp version)
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2009-2002
2009-2002

1. Room17
2. Timeline
3. Longago
4. Roamer'schristmasday
5. Spiritualawaking
6. ISJO
7. Transported
8. Wallman
9. Meaningoflife
10. Makeupyourmind
11. Whenfallasleep
12. Keepinsight
13. Apersoninthewater
14. Anotherfuture
15. Cumulonimbus
16. Sleepwalker
17. Chandler
18. Aprilrider
19. Cyclingroad
20. Coldnoise
21. Afterrain
22. Octobersky
23. Twilight
24. Medicine
25. Recreation
26. Novemberwind
27. Rainygarden
28. Midnightsea
29. Nightroad
30. Escapetoarelax

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ベース:鴻野 暁司(コウノ サトシ)
1982年 2月13日生まれ

鴻野 暁司

ドラム:峯 リョースケ(ミネ リョースケ)
1986年 3月5日生まれ

峯 リョースケ


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