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ギタリストインタビュー〜Yuta Tanaka
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ードイツも長くいましたね。どのような雰囲気でしたでしょうか。

Yuta:ドイツは大変でしたね(笑)。ドイツも何のツテもなく行ったんですが、とりあえずベルリンでバスキングを始めましたが、ドイツ語しか通じないんです。英語も多少は通じますが、ドイツ語が必要と感じました。あと、ドイツ人は日本人に似てますね。ドイツ人ばかりの街は息苦しいです(笑)。ドイツ人と日本人の違いは、バスキングでお客さんが集まってる時に警察が来た場合、ドイツ人はミュージシャンの味方をして、警察に文句を言ったりします。日本人はみんなどこかへ行ってしまいます(笑)。

ー今でも東ドイツと西ドイツの違いは感じますか。

Yuta:感じますね。西は裕福で東は貧乏で、昔の名残はあると思います。あと移民が多いですね。トルコ人街はドイツ人が少ないです。ベルリンではバスキングが割と自由にできますが、止められることもあります。他の街は全然できないし罰金を払わされたこともあります。アジア人に対する差別というのも少し感じたことがあります。

Yuta Tanakaー国によってバスキングの認識や、ミュージシャンに対する気持ちもいろいろ異なるようですね。

Yuta:最近は谷本光さんなど中国で活動しているギタリストが増えてきて、とても待遇がいいようです。日本ではギャラや交通費無しで演奏をして、ということを言われることがあります。仕事として認められてない気がしますね。海外ではバスキングではお金を普通に払うのもですが、日本では物乞いと思っている人もいるようです。募金は気前よく入れるんですけどね(笑)。
もちろん日本は好きな所はありますが、バスキングなどは大変ですね。食べ物は日本が一番いいです(笑)。

ー日本は芸術、文化に対してあまり寛容ではない気もします。今後も海外に行く予定はあるのでしょうか。

Yuta:8月下旬か9月頃からマレーシアに行こうと思っています。友達も多いし、バスキングも盛んになってきていますね。バスキングからジャズフェスティバルに呼ばれたりするので、可能性にあふれた国だと思います。
今後は拠点を海外にして、時々日本に帰ってくるというようにしたいです。今考えてるのは、マレーシアを拠点として、フィリピンなど広げていきたいですね。

ーYutaさんの演奏はブルースがベースではありますが、いわゆるブルースマンとは聴き心地が違うようです。

Yuta:ブルースをベースにして、ジャズやカントリーを融合しています。ソロギターの音楽はもちろん好きですが、エレキブルースも好きです。ジャズならニューオリンズやディキシーランドジャズが好きです。こういうものを拾って弾いてるところがあります。アメリカ音楽をベースとしていますが、日本人として生まれて、何か持っているものを融合させていきたいと思います。
昔は耳コピをしましたがつまらなくなってきたんです。誰かの演奏ではないものを演奏したいんですね。 テクニック的にうまいプレイヤーはたくさんいます。でもテクニックというのは音楽の全てではなく、表現の一部として組み込むもので、一番大事なのはハートだと思っています。

ー演奏はアドリブが多いように見受けられます。

Yuta:そうですね。アドリブが多いので演奏は毎回違います。聴く方も面白いと思いますし、自分でも面白いです。

ー最後にメッセージをお願いします。

Yuta:ギターを弾くのではなく、音楽を弾いてほしいです。若くてうまい人も多いですが、その人の人生が見えないとただギターが鳴っているだけになってしまいます。自然体で音楽をやればいいと思います。指が速く動かなくてもいいんです。
僕が海外に行くのも、人生経験を音にしたいと思っているからです。そうでないと説得力もないと嘘になってしまいます。自分にないものは話せないんです。自分が持っているものを増やすことが大事だと思います。

【2016年7月横浜にて】

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Yuta Tanaka http://yutatanaka.strikingly.com

1987年生まれ。
16才でアコースティックギターを始める。
2010年フィンガーピッキングデイ出場。
2011年オーストラリアで1年間バスキングを続ける。
2013年フィンガーピッキングデイ出場。
2013〜2014年マレーシアで活動。
2014〜2015年ドイツで活動。
2016年フィンガーピッキングデイにてオーディエンス賞獲得。










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