Acoustic Guitar World
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「FENDER BENDER」は小川さんが「太陽と羅針盤」出したすぐ後くらいですよね。(1999年発売)

小川:まずイサトさんが東京で録音していたんですが、途中で資金が底をついたんです。そこでイサトさんが僕がエンジニアをしていることを知っていたので、紹介してくれました。当時野沢さんは整骨院をしていたのですが、その整骨院の室内やベッドの上とかにマイクを置いたりして録音しました。天井は高かったしいい音でしたよ。イサトさんは僕がエンジニアリングが得意だと思って、「太陽と羅針盤」の録音についていろいろと聞いてきました。どういう風に、どのような機材を使って録音したのかと。イサトさんはギタリストでここまでこだわる人は他にいないよ、と言ってくれました。
この他にもソロだけでなく、アイリッシュ系のバンドなど、いろいろな音楽のプロデュースを今でも手がけてます。いろんなアーティストのアルバムを聴いて、もっとこういう風に録音した方がいいんじゃないかとか、僕は音質フェチなので職業的に聴いてしまいますね。

トータルとして音楽家ですね

ー小川さんの本質はギタリスト、作曲家、エンジニアなどのどれになるんでしょうね。

小川:トータルとして音楽家ですね。ギタリストと名乗ってますが、これらがどれ一つ欠けてもだめです。これら全てを使って自分が思ったもの、感じたものを外にだす、ということです。たまたまギターが自分に合ってましたが、表現方法はピアノでもバイオリンでもいいんです。ギターが自分にとって最適だったということです。ただ、ピアノもいいんですが、ギターのように直接弦にさわりたい、というのはあります。ピアノは鍵盤、ハンマーがあって叩くもので、自分からは距離があります。ギターは弦を直接指で弾いて、細かい色合いをつけることがいいんです。それがギターを選ぶ一つの要素でしたね。
ピアノは誰が弾いてもある程度はいい音を出せますが、ギターはいい音を出すのが難しい。きちんとしたいい音出すギタリストは少ないと思います。もちろんピアノもうまい人が弾けば素晴らしい音色になります。ギターは細かいトーンがあり、それを限りなく細かい表現で弾きたい。自分にとってギターが一番よかったんですね。
そして、いい音で録音する。CDを聴く時はいいオーディオで聴いてほしいです。今はパソコンで聴く人も多く、オーディオを持っていない人も多い。CDはポテンシャルが高いのに、パソコンで変換してしまうと本来の音がでない。それに昔のレコードは最初から通して聴いてたと思いますが、今は曲を飛ばしながら聴く人も多い。これもよくないと思います。曲順もこだわっていて、一枚のアルバムで組曲と考えています。腰を据えて聴いてほしいですね。CDはジャケットも含めて、一つの世界だと思います。1曲1曲はパーツなので、バラで聴いてほしくない。それは自分で表現する芸術とは違うなと思います。
ただCDという媒体がなくなりつつあるので、これからどうしようというのもあります。今はメジャーのCD売り上げが下がってきてるので僕らのCDも売れなくなってきてます。今後はいわゆるヒット曲はダウンロードで済ませてしまい、CDを使わなくなるんじゃないでしょうか。僕らのような自主制作やインディーズがCDの文化を支えていく気がします。名前が知られないとダウンロードだけでは売れると思えないし、CDならジャケ買いもあると思います。

ーLPだった時代はジャケットが大きいので購入するための大事な要素だったと思います。CDでもその流れはあると思いますが、ダウンロードでは曲だけで、ちょっと不安な感じはします。

小川:やはりジャケットは大事で、アルバムを聴きながらジャケットを眺め、いろいろと想像する。ジャケットも含め、一つの総合芸術だと思ってます。

ー6月以降のライブ予定はありますか?

小川:6月は関西ツアーがあります。

ー最近の活動ですが、他のギタリストとのジョイントライブも多いですね。

小川:今まで他のギタリストの方と連絡とったり一緒にライブしたりというのはそれほどしてなかったんですが、Facebookなど始めてからいろいろな人と連絡をとるようになりました。そこで一緒にライブする話もでてきます。あとFacebookは宣伝ツールとしても役に立ってます。今まで東京でライブやる時は集客が大変でしたが、Facebookで告知するとそれを見てライブにくるという人も増えました。

ーライブは全国で行っているのでしょうか。

小川:そうですね。大阪、名古屋、東京とか主要都市でありますが、広く動いてます。ただ作曲は家で集中しないとできないので、ライブの時間は多くとれてないですかね。それほど数は多くないと思います。

ー最後に伝えておきたいことはありますか?

小川:ライブにきてほしいですね。CDは大事ですが、CDだけでは伝わらないものがある。僕の演奏はCDとライブでは印象が違うみたいで。CDではやさしく演奏するイメージがあるようですが、ライブでは意外とアグレッシブといわれます。

ー先日のライブでは歌も歌ってましたね。

小川:そうですね。今までもたまに歌っていました。CDにはないですけどね。ライブではよく驚かれます(笑)。

ー驚きましたね。また歌がうまいのにも驚きました(笑)。CDで発売してもいいような歌と伴奏もテクニカルでしたね。

小川:元々は歌っていたので自分としては自然なんですが、ファーストの「太陽と羅針盤」が全曲インストだったので、ギタリストのイメージが定着しました。歌のアルバムも出したいですけどね。ただ自分で歌詞を書くことができない。いい詞があれば、それをもとに作曲したいですね。
ただマイケル・ヘッジスは歌もののアルバムを出してますが、酷評されています。歌もいいのですがインストのイメージが定着しているせいでしょう。ベンスーザンの新しいアルバムも歌中心なんですが、やはり評価が低い。どうしてもギターの演奏をファンは求めてしまうでしょう。こういうのを見てると歌ものは売れるのかな、とか思ってしまいます。僕もインストのイメージが強いでしょうからね。今後はわからないですが、普通の弾き語りで歌うのもなんですから、僕のインストの延長線上で歌をやってみたいですね。インストの人が余興で歌やってる、というようにしたくないです。

ー今後のアルバムもいろいろ期待できそうですね。本日はありがとうございました。

(2012年5月11日栃木県鹿沼市 カフェ・Panamaより)

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小川倫生 http://ogawa-michio.com

1974年生まれ。
5才からクラシックピアノを始め、中学二年生でギターを始める。
高校1年生の6月にカセットレーベル「Greenwind Records」を設立。
1998年にファーストアルバム「太陽と羅針盤」リリース。
1999年にギタリストのPeter Fingerが主宰するドイツのレーベルAMRのコンピレーションアルバム「Acoustic Guitar MADE IN JAPAN」に参加。
2001年2ndアルバム「スプリングサインズ」リリース。
2003年3rdアルバム「Night Jasmine」リリース。
2006年4thアルバム「PROMINENCE」リリース。
2012年5thアルバム「Si Bheag,Si Mhor」リリース。
2014年プロデューサーとして東日本大震災復興支援プロジェクトCD「木を植える音楽」を担当。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
スプリングサインズ

発売時期:2016年6月17日
レーベル:Greenwind Records
販売価格:2,500円+tax


Spring Signs (disc 1)

1.April Collector
2.Miss Eliza Green
3.Magnolia
4.Bob's Popo
5.Maggie's Kitchen Garden
6.Almost Summer
7.Two Years Or Three-The Gardener
8.Windy Afternoon
9.The Major Flower Pot
10.Dazzling Blue
11.Starry
12.Astral Twins
13.Spring Loops

Spring Analyze (disc 2)

1.冬の終わり
2.Spring Fever
3.Slighting Song
4.High Exposure
5.Resilience of Season
6.曇りのち雨
7.夜明けのバイオスフィア part.1
8.Star Terrace
9.Nectarine Sweet
10.April Collector (Bright Moment Mix)
11.夜明けのバイオスフィア part.2
12.Lomo
13.Gradiva
14.潜水艦の影
15.Spring Lines


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LAST TRAP
販売価格:2,500円(税込)
レーベル:Denpo-G Studio

1. Sagitarius
2. 旅の座標
3. Reynardine
4. Nine Apple Seeds
5. Updown Highway -中国自動車道に捧ぐ-
6. Last Trap Blues
7. The Water is Wide
8. Night Jasmine
9. Quantje suis mis/Tourdion
10. Jock O'Hazeldean

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