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ギタリストインタビュー〜AKI-CHU
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ギタリストになりたいということを、そんなに強く思っていた訳ではないんです
ーこれらの曲は今までのライブでも演奏していた曲なのでしょうか。

忠英:「中庭」「三陸少年」「窓からゆれるサトウキビをみせたい」は今まで演奏してましたが、その他は新曲です。旅先で出来た曲が多いですね。「ひとことみこと」は四国でできた曲です。「遠野ウィンター」は遠野だし、「TOTTAN」は襟裳岬でイメージができました。「三陸少年」はみちのくのボランティアで出会った少年のことです。
「Same Time」については、アッキーは僕の生まれ変わりだと思ったんです。本来は僕が死んでからアッキーが生まれるはずだったのに、39才差で生きてる時に出会ってしまったという不思議さと、「Time」というのはギターを弾く時の、グルーヴのタイミングが全部一緒という意味と、同じ時間を生きているという意味で、アッキーが作ってくれた曲です。
「神様のいたずら」も、出会うはずのなかった二人が出会ってしまった、この二人の奇跡をテーマにアッキーが書いてくれました。

アッキー:神様がいたずらをして、忠英さんの生まれ変わりのはずだった僕にフライングで命を授けて、二人を出会わせたんだね、ということを忠英さんが言ってくれて、それがすごく印象に残ってたんです。そんな魔法みたいな曲ができたらいいなと思ってました。忠英さんがアルバムのデモを録って、送ってくれたのですが、このデモテープからすごくエネルギーを感じたんです。忠英さんが二人でアルバムを作りたいと、強く思ってくれているというのを感じました。それまで僕は2年半くらい曲を書くことができなかったんですが、そのエネルギーをもらって、1週間そこそこで「神様のいたずら」と「Same Time」の2曲を書き上げました。文字通り「何かが降りてきた」というか、不思議なパワーに自然と導かれて作った新曲です。

忠英:「神様のいたずら」というようなことを、僕が感じることがたくさんあったんです。最初に出会った時にいろいろ話をしたのですが、その時にギターだけの、ギター馬鹿になってはいけない、みたいな話をしました。いろいろな映画を観たり、絵を見たりとかの話をした時に、「好きな絵はあるの?」と聞いたら、「あります」ということだったので、どこにあるかを聞いたら、秋田の平野政吉美術館にあると言うんです。平野政吉美術館というと、自分が好きな絵も一つだけあるんです。藤田嗣治さんの関東祭りを描いた日本一大きい油絵があって、その裏にリオスという人の「水を汲む少女」という小さな絵があるんですが、アッキーもその絵が好きだったんです。これには本当に驚きました。それで「水を汲む少女」という曲を一緒に作って、僕のアルバムに入れています。
アッキーとは手の大きさも一緒で、背の高さや目の大きさも一緒、不思議な感じがして、これは生まれ変わりだな、ということがたくさんあったんです。

ー東京とか、二人が共通する場所で有名な絵などならありそうですが、秋田の美術館で、メインではない絵をどうして二人が気に入ったのかは、本当に不思議ですね。

アッキー:「水を汲む少女」のことがわかった時は、びっくりしましたね。忠英さんも「なんでその絵を知ってるんだよ〜!!」って。本当に小さい絵ですからね。

忠英:僕は秋田に行くたびに「水を汲む少女」を見に行くんです。最初に見たのは1980年くらいですかね。

アッキー:僕が生まれる前ですよ(笑)。

ー「中庭」は田中さんの曲ですね。この3曲以外は忠英さんの作曲でしょうか。

忠英:はい。今回のアルバムのデモテープを送って、アッキーはどう言ってくるかな、気に入らないんじゃないかな、とか思ってたのですが、予想以上にすごく気に入ってくれて、アッキーからもアレンジのアイデアを返してくれました。そうくるか、というとんでもない捉え方をしてくれて、ものすごくいいアレンジになりましたね。

アッキー:「遠野ウィンター」なんかそうですね。

忠英:「遠野ウィンター」はアイリッシュ風になるかな、と思ってたらベンチャーズみたいな感じです。

アッキー:遠野の雪景色をイメージして作られた曲ですが、雪景色のはずなのにサウンドは常夏のベンチャーズっていう(笑)意外なアレンジのほうが面白いじゃないですか(笑)。
忠英:「カントリードーロ」もカントリーのフレーズを入れてきたり、自由な発想でいいですね。

ー今回のレコーディングは、今までの活動を集約したのもということでしょうか。

忠英:AKI-CHUが大げんかしない限り(笑)、このままツアーを続けるので、旅の最中にどんどん曲ができてくると思います。そういうのを、毎年でも2年に1回でも、アルバムとして出したいなと思ったんです。僕が息絶えるまでやり続けたいなと(笑)。

アッキー:あと50年くらいですかね(笑)。

忠英:45年くらいかな(笑)。ちょうど110歳までは現役で続けたいんだよ(笑)。

アッキー:レコーディングは京都で一週間かけて録りました。毎日すごく楽しかったですね。スタジオでは構造上、お互いのブースが見えなかったのですが、なぜか演奏のタイミングがぴったり合ってしまう。これにはエンジニアのスタッフの皆さんもビックリしてたみたいです。でも目を閉じて音を聴けば、見えなくても関係ないというか。隣で演奏するお互いを感じることができるので。

忠英:見えちゃうと逆に合わないのかもね。

アッキー:「Same Time」や「中庭」では、忠英さんは決まったことをしないで、ジャズのようにその場でコードを見ながらアドリブをして、場の空気に合った音を紡いで録音しました。そういうのを目の当たりにして、忠英さんの真骨頂というか、忠英さんから一番聴きたかった、忠英さんと一緒に合わせたかった音を何度も出してくれて、泣きそうになりました。感動しっぱなしでしたね。今の僕では到底追いつかない、忠英さんの経験だったり、ギターをずっと弾いてきた人生が、このアルバムにも集約されていると思っています。

ー忠英さんは今までいろいろなギタリストと共演されてますが、ギターのデュオでアルバムを作られたことはありましたでしょうか。

忠英:無いですね。初めてです。

アッキー:えー!無いんですか!今までたくさんあるのかと思ってました。

忠英:オムニバスとかで、何人かのギタリストで一枚のアルバムを作った事はあります。でも一緒にやったというよりは、勝手にやってるのが集まっただけです(笑)。ゲストなどはありますけどね。今回のように一緒にレコーディングして、アルバム作りをしたのは初めてです。

アッキー:それは初めて知りました。驚いたなぁ…

忠英:今まで、アコギストで一緒にやりたい人がいなかったんでしょうね。やりたい人がいたらやってたと思うし。

アッキー:今の部分、絶対カットしないで載せてくだいね(笑)。
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吉川忠英 http://chuei-yoshikawa.com

1947年東京生まれ
1971年、伝説のフォーク・グループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米、“EAST”と改名し、米国キャピトルレコード社よりアルバム『EAST』を発売。全米デビューを果たす。
帰国後、シンガーソングライターとしてデビューし、スタジオミュージシャンとしての活動も始める。
中島みゆき、松任谷由実、福山雅治、夏川りみ等多くのミュージシャンのコンサート、レコーディングに参加、スタジオミュージシャンの第一人者として活動する。
現在もソロギターの活動とサポートの活動を精力的に続けている。

田中彬博 http://tanakaakihiro.com

京都府出身。1986年1月2日生まれ。アコースティック・ギタリスト。
2007年、モリダイラ(株)主催フィンガーピッキングコンテスト全国決勝大会において「最優秀賞(グランプリ)」,「オーディエンス賞」, 「オリジナルアレンジ賞」の三冠を獲得。
2010年9月、アメリカ・カンサス州ウィンフィールドで開催される世界規模のギターコンテスト, 39th Walnut Valley Festival「International Fingerstyle Guitar Championship」にて日本人初, 大会史上最年少でのグランプリを獲得。
翌年に開催された40th Walnut Valley Festivalではオフィシャル・パフォーマーとして, Tommy Emmanuel, Stephen Bennettら40組のミュージシャン・ギタリスト達と共演した。
YAMAHA(株)の全面的なサポートにより始まった海外公演はスペイン, ポルトガル, 中国, 韓国, 東南アジア, ロシア, ウクライナへと広がり, 訪れた国は10カ国にのぼる。圧倒的なパフォーマンスと言葉を超えて胸を打つその音楽性は, それぞれの国で鮮烈な印象を残し, その評価と繋がりは世界的なものになりつつある。

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1,800円(税抜き)
2014/8/29発売
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1.美しき山
2.Sunny Side Up
3.風窓
4.After Rain
5.Four Times
6.Morning Sun
7.Travolution
8.Pavement
9.N.A.D.
10.Sweetness
11.Delight
12.Habanera
13.318 Spring#1
14.タラの庭
15.Simple Life
16.Fuji House
17.一日の終わり
18.Slow Fuji

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2008/4/20発売

1.中庭
2.Good morning train
3.太陽のエチュード!
4.学園天国
5.call
6.夕凪
7.赤のDUENDE
8.三月の雨
9.君と夢の間の銀の翼
10.flower
11.別れの朝に






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