Acoustic Guitar World
ホーム インタビュー ニュース イベント 電子書籍 レビュー   無料メールマガジン
ギタリストインタビュー〜AKI-CHU
前のページ 1 2 3 4 次のページ
ーライブでの共演は多くてもアルバムはなかったのですね。田中彬博

忠英:ライブは多いですが、一匹狼が多いので、レコーディングはあまりやりたがらないですね。「俺が、俺が」って出てきますから(笑)。

ー今回のアルバムでは、特にこういったところを聴いてほしいとかありますか。

忠英:「神様のいたずら」ではグルーヴの気持ちよさですね。今日も車で聴いてたんですが、一緒に乗ってた人が、「これはどっちが忠英さんなんですか」と聞いてきました。伴奏だよ、と言うと「メロディーかと思った!」と言って驚きましたね。どっちかわからないくらい、グルーヴが溶け合っているんですね。音のチャンネルの出方は、アッキーが左からで僕が右からです。

アッキー:ライブの立ち位置と同じなんです。客席から見て僕が左側で、忠英さんが右側です。

忠英:わからないくらいというのは、「やったー」という感じで痛快ですね。

アッキー:どの曲にも後ろにはストーリーがあって、忠英さんが旅を続けてきて見た風景だったり、二人で旅をして見た同じ景色だったり。それぞれの景色や物語が一曲一曲に集約されています。

忠英:「カントリードーロ」の詞ではその辺を言ってますね。運命の出会いがあって、それは神様が決めていたのではないかと。「懐かしい明日、まだ見ぬ故郷」という言葉が出てくるのですが、もうそこに行くことになっていて、二人は出会うことになっていたんだと。そんな二人が、ギターとカバンだけを持って旅を続けていく、そんな内容の歌です。

アッキー:時間や世代、言葉とかを超えたところにある、一つのものにつながっていて、僕と忠英さんが出会うことで、そういうのにも、触れさせてもらって、ということを歌っています。歌の後ろにある風景を感じてもらえたらうれしいですね。

ーカヴァーは「Moon River」を取り上げてますが、これはどういったところからくる選曲だったのでしょうか。

忠英:「Moon River」は元々好きな曲ですが、アレンジをしてみたいと思ったんです。オープンGでやったら面白いアレンジができてきて、そもそも「Moon River」はどんな詞なのか調べてみたら、結構わからないものなんです。月の光が水面に映って、河みたいになってるということだと思うのですが、それがどうしてああいう詞になるのか調べたら、ハックルベリーの冒険からもきているようです。いろいろ訳されてますが、訳せないところもあるようですね。

アッキー:僕も忠英さんからデモをもらってから歌詞を調べてみたら、いろいろな部分で、この二人の関係にもあてはまるようなことを歌っている曲だということに気付きました。「AKI-CHU」をそのまま表わしてくれているというか。インストですが、歌詞も意識しながら、言葉を超えたところにある何か普遍的なメッセージみたいなものも、ギターで表現できたらと思いました。

忠英:言葉がない方がイメージングが合う場合があります。あまり言ってしまうと、限定しすぎてしまいます。「Moon River」は考えさせるような、いい詞だなと思います。

アッキー:歌詞に出てくる「Two Drifters」という言葉が好きです。二人の流れ者ということですが、忠英さんの運転で、北海道を2週間くらいかけて1周した時のことを思い出しました。

お互いがやりたいことをやってるのですが、それがぴったりはまってしまう

ー二人でのアルバム作りは初めてということですが、今まではライブ以外にどのような活動がありましたか。

忠英:僕のアルバムに、2曲録音されています。これも不思議だったですね。僕がレコーディングをしている時に、アッキーは京都にいるんだろうなと思っていて、「明日東京に来れない?」という電話をしたら、すでに東京にいたんですね。次の日も何の予定もないので、行けます、ということになって、「水を汲む少女」と「Hey, Mr. Guitar Man!」を録音しました。2枚組のアルバムですが、AQUA FACE (アクアフェイス)の方に入っています。(http://nauta.jp/shopping/index.html)

ー今までのツアーでは、どのような曲を二人で演奏していたのでしょうか。

アッキー:アレンジでは「Over The Rainbow」とか、あとは「水を汲む少女」「中庭」などですね。

忠英:アッキーは普段歌わないですが、僕の曲でコーラスとかしています。今回のアルバムではリードボーカルもしています。すごくいいですよ。

ー今後の予定は決まっているのでしょうか。

忠英:ツアーはやっていきますね。それぞれの活動としては、僕は日本中くまなく回りますが、アッキーは世界中回ってますね。アッキーはこれからもどんどん、世界に羽ばたいていくのだろうと思います。僕はツアーを2000年くらいからやってますが、中川イサトに旅の仕方を教えてもらいました。最初の頃は、吉川忠英というのはギターしか弾かない人だと思って、歌を歌うことを知らない人が多かったし、お客さんも少なかったです。続けているうちに認知されてきて、そこそこお客さんが来てくれるようになって、ツアーが出来ています。ありがたいですね。

アッキー:未だに、一緒にツアーをして打ち上げもお客さんが一緒の時もあるのですが、そこでも忠英さんはモノマネをしたり、落語をしたりしています。お客さんには僕のお父さんくらいの世代がいて、フォークのレコードのクレジットで忠英さんの名前をずっと見ていて、ギターの神様と思っていた人たちが、打ち上げが終わった後はびっくりしています。モノマネや落語をするような、こんなに楽しい人だと思ってなかったと。もっと怖い人だというイメージを持っていたみたいです(笑)。

ー昔のイメージでは、ギターの職人的なイメージがあるのかもしれませんね。

忠英:そうでしょうね。眉間に皺寄せてね。その頃はツッパってた気がするし、嫌な人間だったと思いますよ(笑)。13年前から旅を始めて、天狗になっていた鼻をへし折られていって、現実は厳しいんだよということを教わって、そこから自分が、いろいろな人に目を覚まさせられました。それで、音楽も自然に変わってきたと思います。お客さんにもっと喜んでもらおうと、エンターテイメントの世界になってきたと思います。

アッキー:そうじゃなかったら、僕のことも一緒にやろうとかは言ってくれなかったんでしょうね。

忠英:そうだね。アッキーと会ったのは旅を始めて7年くらい経ってたから、ピースフルになってましたね(笑)。

ー出会いが10数年前だったら随分変わってたのかもしれませんね。

アッキー:例えば、僕が忠英さんと同い年だったら?

忠英:嫌だったんだろうな(笑)。昔、中川イサトと、ふきのとうのレコーディングで会ったんです。1975,6年かな。その頃は関東と関西が仲悪くて。東京の吉川忠英、大阪の中川イサト、とお互いに紹介された後、小さいブースの中にずっと一緒にいたのですが、一言も話しません(笑)。録音が終わったらすぐに出て行ってしまって、嫌な奴だと思いましたよ(笑)。1998年に、黒澤楽器店でのマーチンクラブのコンサートで、イサトと一緒になりました。そこから、一緒に飲むようにもなりました。その時も、「あの頃は口聞かへんかったなぁ」「そやなぁ」とか話しましたね。

アッキー:何で二人とも関西弁なんですか(笑)。

忠英:相手が関西弁の時は合わせるんだよ(笑)。あの頃はお互いツッパっていて、口聞かない方がかっこいいと思ってたんだね。へらへらするのはいけないと。
前のページ 1 2 3 4 次のページ


吉川忠英 http://chuei-yoshikawa.com

1947年東京生まれ
1971年、伝説のフォーク・グループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米、“EAST”と改名し、米国キャピトルレコード社よりアルバム『EAST』を発売。全米デビューを果たす。
帰国後、シンガーソングライターとしてデビューし、スタジオミュージシャンとしての活動も始める。
中島みゆき、松任谷由実、福山雅治、夏川りみ等多くのミュージシャンのコンサート、レコーディングに参加、スタジオミュージシャンの第一人者として活動する。
現在もソロギターの活動とサポートの活動を精力的に続けている。

田中彬博 http://tanakaakihiro.com

京都府出身。1986年1月2日生まれ。アコースティック・ギタリスト。
2007年、モリダイラ(株)主催フィンガーピッキングコンテスト全国決勝大会において「最優秀賞(グランプリ)」,「オーディエンス賞」, 「オリジナルアレンジ賞」の三冠を獲得。
2010年9月、アメリカ・カンサス州ウィンフィールドで開催される世界規模のギターコンテスト, 39th Walnut Valley Festival「International Fingerstyle Guitar Championship」にて日本人初, 大会史上最年少でのグランプリを獲得。
翌年に開催された40th Walnut Valley Festivalではオフィシャル・パフォーマーとして, Tommy Emmanuel, Stephen Bennettら40組のミュージシャン・ギタリスト達と共演した。
YAMAHA(株)の全面的なサポートにより始まった海外公演はスペイン, ポルトガル, 中国, 韓国, 東南アジア, ロシア, ウクライナへと広がり, 訪れた国は10カ国にのぼる。圧倒的なパフォーマンスと言葉を超えて胸を打つその音楽性は, それぞれの国で鮮烈な印象を残し, その評価と繋がりは世界的なものになりつつある。

リラックス&スロー~ナチュラル・スタイル
吉川忠英

リラックス&スロー~ナチュラル・スタイル

1,800円(税抜き)
2014/8/29発売
Della Inc.

1.美しき山
2.Sunny Side Up
3.風窓
4.After Rain
5.Four Times
6.Morning Sun
7.Travolution
8.Pavement
9.N.A.D.
10.Sweetness
11.Delight
12.Habanera
13.318 Spring#1
14.タラの庭
15.Simple Life
16.Fuji House
17.一日の終わり
18.Slow Fuji

Amazonで購入

harukaze harmonics
田中彬博

harukaze harmonics

2008/4/20発売

1.中庭
2.Good morning train
3.太陽のエチュード!
4.学園天国
5.call
6.夕凪
7.赤のDUENDE
8.三月の雨
9.君と夢の間の銀の翼
10.flower
11.別れの朝に






Acoustic Guitar World

トップページ l インタビュー l ニュース l イベント l 電子書籍 l レビュー l EPUBについて l facebook l Twitter 
Acoustic Guitar World について Copyright © Acoustic Guitar World All Rights Reserved.