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ギタリストインタビュー〜垂石雅俊
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ーどのような演奏活動をしようと考えていたのでしょうか。

垂石:腱鞘炎が治ってからのリスタートなので、一度ゼロになりました。今となっては良かったと思えます。もう一度何ができるのかを知りたくなり、学生の後半は様々なギターの習得、ギターテキストのDTPの制作に携わったり、またギターアンサンブルでの演奏活動も多く、海外公演にも出向いたり、作曲、編曲も現場を通して多くの経験をさせて頂きました。19才だったと思いますが、ミュージカルで役者さんと一緒に演技しながらギターを弾く現場もありました。布施明さん、根津甚八さん、松重豊さんらがいましたね。布施明さんのスパニッシュギターのテクニックが達者だったのを覚えています。

自分に何ができるのかを広げていきましたが、どのようになりたいのかはまだわかりませんでした。卒業して新堀ギターに就職したのですが、2005年には退職し、ドイツに渡りました。ドイツ語を勉強しながらでしたが大変でしたが、もう一度ギターの奏法を突き詰める事、音楽の勉強をする事で、自分には何ができるかを見極めたかったんです。ドン・ロスがフランスでワークショップをすると言えば出向いたり、本当に多くのマエストロにレッスンを受ける事が出来ましたが、作曲をするギタリスト、例えばローラン・ディアンスやアンドリュー・ヨークなどのワークショップには積極的に参加しました。

新堀ギターさんで働きながらギターを弾いていると、社会のいろいろなことが見えてきます。生徒さんのニーズから様々な音楽メディアの成り立ちも感じますし、またインターンの頃から多くのギタリスト達がなぜこのような仕事をしたのか、という理由も何となく見えてくるんです。例えば打田十紀夫さんの「凄み」ということもわかってきました。自分の好みを揺らげる事なく、狭小のニッチなニーズを捉えてレーベルを立ち上げる音楽家としての力。自分が教えようとする時に「こういうのがあったらいいな」と思う事に焦点をしぼると、多く出版さてきた教則本を書き上げてきた理由がわかる。先駆者がどのようなことを考えて仕事をしてきたかがわかると、その価値が見えてきます。こういう人たちになりたいと思いました。自分を媒体にして心に火をつけられるようなミュージシャンになりたいと思う様になりましたね。

垂石雅俊ーギター教室はいつから始まったのでしょうか。

垂石:2008年です。ドイツから戻って割とすぐだったと思います。今まで学んだことをすぐに橋渡ししたかったんですね。

ードイツでギターを学んでいた時から、人に教えるということも考えていたのでしょうか。

垂石:そうですね。音楽教室の長所には色々な先生がいて、様々な音楽に触れる機会が多く、学びが豊富ということも挙げられます。ギターだけでなくヴォーカルやドラムなど、いろいろなものが入って来れば楽みが広がります。教えること自体は深いこだわりはなく、むしろ苦手かと思っていますが(笑)。ですがギターに対するリスペクトをお伝えすることは、自分にとっても本当に勉強になります。

ーギター教室はどのような内容なのでしょうか。

垂石:40分の個人レッスンですが、カリキュラムがある訳ではなく、その人に合わせています。教室の先生方にも入会した時から、生徒さんのギター人生の幹を作ってあげてくださいとだけは言っています。枝葉は何でもいいのですが、幹だけはしっかり作って欲しい。クラシックの人がウクレレやアコギを弾いたり、アコギの人がエレキを弾いたりとか、音楽を楽しむという幹を作ってくれればいいと。ただ漠然とギターを弾きたいという人でも、その人の好きな音楽を掘り起こすだけでもいいんです。音楽には力がありますから。

この教室にはギター、ドラム、ベース、ヴォーカルなどのコースがあって、フロアは4ヶ所、アコースティックなフロアと、エレキギターのフロア、ドラムも叩ける防音ブースのフロアもあります。それぞれがバッティングしない作りになっています。
路面店のギター教室は珍しいと思ってます。楽器を演奏するという事は、カラオケに行ったりするより敷居が高い。とにかく敷居を下げていきたいんですね。音楽を勉強するというだけでなく、サークル活動の一環のような感覚で来ていただいて、発表会を楽しんだり飲みに行ったり、コミュニティーの場として活用してほしいです。ここは日本一イベントの多いギター教室と言えるようにして行きたいですね(笑)。あそこに行けば何か楽しい事をやってるいるのではないか?というようにしています。そこから音楽という大きな存在を知って、学びの喜びを得てもらいたいと思ってます。

生徒さんの層や幅も広くて、例えばアコースティックギターの生徒さんには、初心者だけれども、トミー・エマニュエルが弾きたいという方もやはりいます(笑)。初心者の方には勿論難しいのですが、楽しめるというのがいいんです。トミーのワンフレーズを練習しつつ、他に上達の為に必要なことを教えていくなど、自分一人での練習では飽きてしまいがちな所を、うまく導いていければと思っています。ギターがうまくなるという概念も人それぞれなので、そこを見抜いてレクチャーする必要があり、その人の目的に合わせながら、こちらの方が習得が速い、好みに合っている、といった道標を示すという所にはこだわっています。


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垂石雅俊 http://masatoshi-taruishi.com

1977年生まれ
高校進学と同時に国際新堀芸術学院にてクラシックギターを学ぶ。
18歳で青山劇場にてミュージカル「ウィンド・イン・ザ・ウィロー」にてデビュー。
卒業後、新堀ギター音楽院の本部教室主任教師を歴任。
ドイツにてドイツに渡欧。クラシックギターをアレクサンダー・セルゲイ・ラミレス氏、アコースティックギターをドン・ロス氏に師事。
帰国後、音楽教室ギターレ&エアスト http://www.saimusic.jp/lecturer/ をスタート。
多くのCDや教則本を手がける。
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