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伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


第17回 この一枚を聴く Julian Bream & John Williams「Julian & John」

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤 賢一です。
今回は、ギターデュオ永遠の名作をご紹介します。
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2020年8月14日、クラシックギターの巨匠ジュリアン・ブリームが亡くなりました。
青春時代から今まで、ブリームの芸術に魅了され続けた私にとっても、非常に大きな出来事でした。いつかこの日が来るとわかっていたとしても・・・・
ブリームの音色、強靭なフレージング、初めて聴いたときはギター演奏に見られがちなある種ナローな感触があまりのも希薄で驚きました。
しかし何度も何度も聴き込むにつれ、一瞬に込めた音の綾が見えてきて、そうなるともう彼から抜け出せなくなりました。
今回はブリームのアルバムを紹介しようといろいろと考えた結果、歴史的ギターデ ュオの名作をご紹介します。

相方のジョン・ウィリアムスも押しも押されぬ名手です。ジョンの音楽は端正で、テクニックはしなやかで強い。そしてどんな素材でもノーブルな世界を作り出します。瞬間瞬間に濃厚な表現を掘り下げるブリームとの対比がすごいです。その違いがそれぞれを高め合うという、奇跡の組み合わせ。その後多くの優れたギターデュオが世に出ましたが、個人的には今でも一番聴いていて面白いのはこのデュオです。

冒頭のローズの組曲を耳にしただけで、音楽の素晴らしさに、しばし時を忘れます。テーマをお互い弾き合った最初の30秒で、二人の音楽の違いと、それが合わさった妙を感じることができるでしょう。ルネッサンス期のローズを編曲し冒頭にもってくるあたりは間違いなくブリームの趣味で、思わずニヤリとしてしまいます。

前半はルネッサンス~古典、後半はスペインの名作群を連ねて、ラストはアンコール的な趣でラヴェルの「亡き王女のパヴァーヌ」で美しく幕を閉じます。 全曲聴きどころ満載ですが、あえて挙げるならばソルの「アンクラージュマン」を推したいです。
特に序章となるカンタービレは何度聴いても感動を新たにする名演中の名演。ここでのブリームは特にブリームらしい気がします。
この曲は最初にテーマを弾くのはジョンです。非常に端正で美しくノーマルな演奏。次いでブリームパートになると、そのあまりに色彩の濃い音色に思わずハッとします。端正で丸みを帯びたジョンと、ロマンティックで圭角のあるブリーム。この対比が曲が進むにつれ際立ってゆき、音楽が深まってゆく様が圧巻です。
個人的には、とにかくブリームが出てくる度に目頭が熱くなってしまうんですよね。この時のブリームが好きすぎて、ブリームを聴きたい気持ちの時は、ソロ作よりもついついこれを手に取ってしまいます。

使用ギターはブリームが1936年のヘルマン・ハウザー、ジョンがおそらくエルナンデス・イ・アグアドでしょう。後のロマニロスとフレタの組み合わせも良いですが、私はこの盤の楽器が好きです。 ギターをやる人ならば、ジャンルの壁を超えて聴いてみてほしいアルバムです。

Julian & John





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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。

伊藤賢一

【2020年10月3日】

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