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伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


第31回 この一枚を聴く Bert Jansch & John Renbourn 「Bert And John」

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤 賢一です。
今回はギター・インストゥルメンタルの名作の極め付け、「バート&ジョン」をご紹介します。

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この語り尽くされた名盤について、今更何も述べることは無いのですが、評論家で はない私個人の感想をつらつら書いてみたいと思います。

バート・ヤンシュとジョン・レンボーン。
2人の天才の出会いは世界にとって幸せなものでした。
基本的に2人はそれぞれフォーク・シンガーとしてキャリアをスタートさせましたが、ギタリストとしての技量が飛び抜けて優れていたこともあり、”ギタリスト”として認知されることが多いようです。
しかし個人的には、バートはシンガーとしてより輝きを発揮するタイプに思えます。彼の存在感は”歌とギター”による仄暗い世界観で満たされていて、特に彼の声が入ると場の空気が一変するのです。このアルバムでも4曲目「Soho」でその瞬間を味わうことができます。
対するジョンは、シンガーとしてはバートのような存在感は薄く、”ギター弾き”としての器の広さが際立つミュージシャンです。
2人とも”ギター”という楽器が欠かせないのは同じですが、音楽の作り方は対照的です。バートは右手の直感力で歌い込めるタイプ。ジョンはより音楽を俯瞰していて、 楽曲への献身が際立つタイプ。ジョンは本当に「どこからこのフレーズ持ってきたんだ・・」と思わせるような見事なカウンターパートを想像することができるギタリストでした。青年期にあたるこのアルバムではまだそのスタイルは完成形とは言えませんが、その片鱗は充分に感じられます。「Tic-Tocative」「After The Dance」では、ジョンならではの伸びやかで不思議なカウンターフレーズが聴きど ころになってます。

また、個人的にこのアルバムのサイズがストライクでした。
全12曲27分。短いアルバムですが、内容は詰まっていて聴きごたえ充分。一気に聴いた後に「音楽を聴いた」という満足感で満たされるこの感じが好きでした。 ギターという楽器の持つ世界観に、このサイズが合う気がしています。当然プレイヤーによって指向は異なるものですが、私はこのアルバムの刷り込みが強烈だったようで、自分のアルバムもこのくらいのサイズが理想のひとつと考えるようになりました。

ギターの音はとにかく生々しいの一言です。
エフェクト加工などもなく、パンも左右に振り切って「ギター2本のアルバムだぞ」という主張があります。
当たり前ですが、アコースティック・ギターはアコースティックな楽器です。近年では奏法や機材によって聴かせる切り口が増えてきましたが、アコースティック・ ギターの基本は「タッチで聴かせる」これに尽きます。
綺麗にまとまっているかどうかはさておき、この生々しいうめき声こそアコースティック・ギターだなと感じます。

Bert And John





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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。

伊藤賢一

【2021年12月1日】

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