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伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


第39回 この一枚を聴く Richard Thompson「Acoustic Classics II」 「Acoustic Rarities」

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤 賢一です。
今回は英国フォーク・ロックの雄、リチャード・トンプソン2017年の傑作をご紹介します。

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リチャード・トンプソンはイギリスを代表するギタリスト/シンガー・ソングライターと言って良いでしょう。
英国トラディッショナルを取り入れたしたロックバンドとして時代を彩ったフェアポート・コンヴェンション。
最愛のパートナーを得て数々の名曲名演を生んだリチャード&リンダ・トンプソン。
そしてインスピレーションのままに活動を展開し続けているソロプロジェクト。

さまざまな形態により膨大なキャリアを積んだ彼が、アコースティック・ギターでの弾き語りで綴った「アコースティック・クラシックス」シリーズ。
その第2弾が2017年にリリースされました。さらに連動企画として、自身のレアトラックを同じように弾き語りで録り下ろした「アコースティック・レアリティー ズ」もリリース。ファンとしては涙無くして聴けないほどの大傑作「2枚組」です。

私にとってリチャトンは、押しも押されぬギター・ヒーローです。
エレキはP-90搭載のレスポールやストラトを愛用。私の中では「シングル・コイルの使い手」としては最高峰の位置付けであり、独自のスタイルを確立しています。 20代の頃から彼の出すフレーズは人並外れた存在感と跳躍力を見せており、その刺さるような音色とフレーズは「バグパイプのようにいななく」とさえ表現されています。
アコースティックはローデンのイメージが強く、繊細な技とフィジカルのパワーを兼ね備えた彼のスタイルに非常に相性が良いです。
そんなローデンギターの妙が存分に味わえる盤としても楽しめる一枚となっています。

選曲的にはベスト盤の要素もあるので、内容が充実しているのはもちろんなのですが、その中でも白眉は「Genesis Hall」「Meet On The Ledge」「Crazy Man Michael」といった、フェアポート時代の名曲達でしょう。耳に慣れたバンドサウンドとは違う、見事なギター1本での伴奏が聴きどころです。情感を込めて歌いながら合間のオブリガートをきっちり効かせてくる名人芸。間奏でのソロギターも、テンポ、音量ともに自在で見事。こういう音楽に献身的なギターがもっと賞賛される世の中になってほしいです・・・。
個人的には2003年リリースの「Gethsemane」は大好きな楽曲だけに取り上げてもらって嬉しかったです(ここではギター2本のアレンジです)。多重録音とはい え、”音数”をギター1本の単位以上に増やしていないあたりにセンスを感じます。

「レアリティーズ」の方ではやはり大名曲「Sloth」ですね。フェアポートのライブで聴かせてくれたような、ものすごい熱量はここにはありませんが、静かに曲の世界を閉じ込めて手渡されたような、心に染みる名演です。「Poor Will And The Jolly Hangman」は、フェアポート・ファンとしてはイントロでもうやられてしまう事必至です。それにしてもバンドでは土着的に響かせていたこの曲が、こんなにも美しい曲だったとは・・・リチャトンの楽曲への眼差しは底知れぬ深さです。
また「I Must Have A March」という私の知らない曲が強く心に残りました。 これもしかして新曲では?実に実にリチャトンらしい、展開のある小品です。

私の憧れのミュージシャンがこうしてバリバリと活動しているのは、本当に嬉しいことです。
まだまだ追いかけます!


Acoustic Classics II

Acoustic Rarities

 


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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入学。
1998年(財)国際新堀芸術学院卒業。以後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年初のギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリース。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。

伊藤賢一

【2022年8月1日】

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