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伊藤賢一雑感コラム ギター路地裏


ギター路地裏 第86回

アコースティック・ギター・ワールド読者の皆さまこんにちは!ギタリストの伊藤賢一です。
私の愛器、越前ギターについて書いてみます。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

ギター製作家の越前良平氏は、山梨県北杜市に工房を構えておらます。
アコースティック、クラシック問わず世界でも評価の高い製作家であり、また、独自の設計を施した「ジャズ・ナイロン」モデルは、クロスオーバースタイルに完全にフィットするアイテムとして知られています。

しかし不思議なことに、ソロギター界隈で越前ギターを使用しているのは、知る限り私のみ。
確かに越前さんは、「ソロギター用」としてのベクトルでの製作はせず、常に自らの感じるベストを出していく方です。
とはいえ飛び抜けたクオリティのギターがソロスタイルに合わないはずもありません。
現役バリバリの製作家にも関わらず、工房を訪れるソロギタリストがほぼいないのは、とても不思議なことだなといつも思っています。

私のオーダーは、完全にベースグレードです。
カスタムは皆無。

表面板はシトカスプルース、側裏板はインディアン・ローズウッドになります。

越前ギター

私はシトカスプルースの音は大好きです。
基音が強く、タッチに太く反応する感覚。新品の時は直線的に感じても、弾き込みによって必ず立体感が加わっていくのも知っています。

ジャーマンやヨーロピアン・スプルースなどの繊細な倍音感も大好物ですが、実際には新品の時にこそ個性の違いがあれ、徹底的な弾き込みがされるならばこなれてくる感覚はかなり似ているのです。
つまり、どちらにせよ演奏者の音になります。
大事なのは、製作家が”これ”と選んだ材料で組まれるという事なのだろうと思っています。

このギターは2025年の作ですが、新品時からツアーでガンガンに使いまくりました。
曲作りのインスピレーションもかき立てるギターで、このギターで録ったデモが既にたくさんあります。

音のキャラクターとしては、大屋ギターのような透明感もありながら、なだらかな地平を感じさせる余裕があります。大屋ギターのような澄み切った鋭さではなく、少しルーズな鳴りの感覚がありながら決して飽和せずきっちり分離し、単音は硬質さをまとって飛んでいく。柔らかな音色を出したい時は、鳴りの感覚にタッチを引き戻す感覚で臨めば自在なグラデーションが実現できます。

結果、ソロでもアンサンブルでも大活躍することとなります。
ピアノとのデュオ、Luna y Alasでは、グルーヴィーなピアノをバックにギターがメロディを担当したりストロークしたりかなりダイナミクスを必要としますが、この越前ギターがベストマッチすると感じています。

「本物」のギターが少なくなってきている昨今。
越前ギターの素晴らしさをこの記事でお伝えできれば嬉しいです。

越前ギター

越前ギター



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伊藤賢一 http://kenichi-ito.com

1975年東京都新宿区生まれ 1994年 ギター専門学校(財)国際新堀芸術学院入
学。1998年卒業後ソロ活動へ。
2001年フィンガーピッッキングデイ出場、チャレンジ賞獲得。
2001年1stアルバム「String Man」リリース。
2002年2ndアルバム「Slow」リリース。
2007年3rdアルバム「海流」リリース。
2010年4thアルバム「かざぐるま」リリース。
2012年5thアルバム「Tree of Life」リリース。
2013年ライブアルバム「リラ冷え街から」リリース。
2015年ギターデュオアルバム『LAST TRAP/小川倫生&伊藤賢一』をリリー
ス。
2016年田野崎文(Vo)三好紅( Viora)とのトリオtri tonicaのアルバム「alba」リリ
ース。
2017年6thアルバム「Another Frame」リリース。
2018年三好紅(Viora)とのデュオIndigo Noteのアルバム「Can Sing」リリース。
2020年Indigo Noteの2ndアルバム「Long Way」リリース。
2021年7thアルバム「Little Letter」リリース。
2023年ピアノ&パーカッション奏者AkiとのデュオLuna y Alas結成。
2024年Indigo Noteの3rdアルバム「Lively Garden」リリース。
2026年Luna y Alasの1stアルバム「月と翼」リリース。
ライブ本数は累計1500を超え、現在も常に日本全国で演奏活動を展開中。




【2026/8/3】
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